『宝石の国』の主人公フォスフォフィライトは、身体の一部を無くし、
新しいものを次々と取り入れていきます。
普通の宝石は、同じような宝石でないとくっつかないし
くっついたとしても動かないことが多いのですが、
フォスフォフィライトは例外で、いろんな物をつけることができました。
そうしてフォスフォフィライトは強く変わっていきます。
そんなフォスフォフィライトの進化・変化の過程を紹介します。
『宝石の国』とは
『宝石の国』とは、宝石たちが指導者の金剛を守るため、助けるために
共同で生活をして支え合っているという物語の作品です。
宝石たちは金剛を先生と呼び、生活している場所を学校と呼びます。
『宝石の国』の概要
『宝石の国』は市川 春子(いちかわ はるこ)先生によるファンタジー漫画です。
『月刊アフタヌーン』(講談社)で連載している作品で、2012年12月号より連載が始まりました。
2023年現在では12巻の単行本が発売されており、年に1回くらいのペースで発売されています。
「このマンガがすごい! 2014年」オトコ編第10位を受賞し、
2017年にはテレビアニメも放送されました。
『宝石の国』のあらすじ
『宝石の国』は淡い薄荷色の宝石であるフォスフォフィライトが主人公の物語です。
「古代」と言われるときに「にんげん」が存在し、「にんげん」が滅亡した世界が舞台となっています。
フォスフォフィライトを含む宝石28人は、学校という場所で支え合って生活をしています。
時折襲ってくる月人を追い払い、長い年月を宝石たちは生きています。
フォスフォフィライトとは
フォスフォフィライトは28人の宝石の中で、一番若く、硬度が3半と
とても脆い性質を持っています。
そんな性質と何もできない不器用さのために仕事が与えられず、
役割がないことに不満をいだいて日々を過ごしています。
フォスフォフィライトの進化の過程
フォスフォフィライトはいろんな身体の一部を無くし、
新しいもので身体を補っていきます。
宝石たちの中にはインクルージョンという微生物がいて
そのインクルージョンが宝石たちを動かしていると言われています。
インクルージョンが新しい身体を受け入れないと、くっつけた部分は動かず、
そもそもくっつかないということが多いのですが、
フォスフォフィライトは例外で、お気楽インクルージョンとも言われています。
そんなフォスフォフィライトはいろんな物で身体を補って強く、賢くなってきます。
その進化・変化の過程を紹介します。
いろいろ足されたフォスは、ほんとうにフォスなのか・・・
テセウスの船を彷彿とさせますね。
初期フォスフォフィライト
初期のフォスフォフィライトは月人好みの薄荷色の髪に
無邪気で明るい性格をしています。
水に映った自分も可愛いと、自分で言っています。
他の宝石の見回りや戦闘の仕事が羨ましく、
先生に戦う仕事をくれと頼んでは却下されています。
足をなくしたフォスフォフィライト
出典:『宝石の国』コミックス2巻より
海へと行ったフォスフォフィライトは足を無くします。
フォスフォフィライトが海へに行ったきり戻ってこないので
他の宝石たちは身を粉にしてフォスフォフィライトを探します。
そんな中、シンシャがいた岬でフォスが貝殻のアゲートと一緒に流れ着いていました。
そんなフォスを、シンシャが学校まで送り届けて、
貝殻のアゲートを足としてつけることにしました。
フォスの身体と似たような宝石は希少で、同素材がないことを嘆いていた医者のルチルですが
やっつけ半分で貝殻のアゲートとフォスを半分に割って硬度を近くして、足をつけました。
つけたアゲートの足は初めは「おしゃれな木の棒」と言われ、動きませんでしたが
少し休むと動くようになり、俊足のイエローダイヤモンドよりも早く走れるようになりました。
その後の荒療治によって少し制御できるようになり、
フォスは見回りに加わるようになりました。
足以外の能力は据え置きです(*^^*)
腕をなくしたフォスフォフィライト
出典:『宝石の国』コミックス3巻より
見回りで、月人が来ても怖くて動けなかったフォスは
月人に捕まっているアメシストを助けることができませんでした。
幸いボルツが助けに来てくれたのでアメシストは連れ去られずにすみましたが、
フォスには罪悪感が残ります。
その罪悪感から、アンタークチサイトと共に冬の担当をすることになりますが、
フォスは流氷に落ちて両腕を失ってしまいます。
そんなフォスに金と白金の合金をつけてみますが、
重くて使い物にはならなさそうです。
合金を外そうとしたときに月人が現れ、アンタークチサイトは月へと行ってしまいました。
合金はフォスの体中に入り、腕と靴のヒール部分になりました。
髪をなくしたフォスフォフィライト
アンタークチサイトを月に行かせてしまった罪悪感から
フォスは1人で冬の担当をしていました。
以前の俊足は合金の速さで失われ、変わりに変幻自在の合金の腕を手に入れました。
冬の担当の間、欠けた部分を自分の髪で修復していたフォスは
見違えるようでした。
冬眠から起きた他の宝石が、フォスだと疑う様子もあります。
頭をなくしたフォスフォフィライト
出典:『宝石の国』コミックス7巻より
合金の腕を手に入れたフォスは、1人でも月人と戦えるくらい強くなり、
あれだけ憧れた戦いの仕事も、もう危険な作業としか思わなくなっていました。
みんなから頼られ、ボルツや他の宝石とも組んで戦いに行くようになり
長期休養所の管理担当のゴーストクォーツとも組むようになります。
ゴーストを月に行かせてしまい、中にいた別の宝石に責められて
フォスはまた罪悪感を抱えてしまいます。
ゴーストの中にいた宝石は、新しくカンゴームという名前がつき、しばらくした後、
フォスは月人との戦いの中で頭を丸ごと撃ち抜かれて
月に持っていかれてしまいます。
カンゴームのかつての相棒であり、頭だけを綺麗に残していったラピスラズリを
フォスの頭につけることになりました。
そのままフォスは102年の間、眠りにつきます。
ラピスラズリの髪をなくしたフォスフォフィライト
出典:『宝石の国』コミックス7巻より
フォスが眠ってから102年後、急に起きたフォスは
ラピスの頭を「美形~」と言って気に入っているようでした。
カンゴームには、かつてのラピスに見えて辛いから、髪型を変えろと言われてしまいます。
その後、新しいモルガナイトとゴーシェナイトを守るため、
ラピスの髪は月人に撃ち抜かれてバラバラになってしまいます。
フォスはショートカットになってしまいましたが、
髪にはインクルージョンが含まれていないため、たいした問題はありません。
問題なのはカンゴームの心情
目を入れ替えて衣装が変わったフォスフォフィライト
出典:『宝石の国』コミックス8巻より
月人のことが知りたいと思い、わざと捕まってフォスは月に行きました。
そこで粉になった宝石たちを見て絶望します。
ここで読者も絶望です。
月人に協力することになったフォスは、地上へと戻ることになります。
その際に固めをエクメアにえぐられ、監視の目を入れられます。
服装も来るときにボロボロになってしまったので、月のデザイナーが手掛けた物を着ています。
フォスは記憶をなくしたふりをして地上に戻り、
月へと連れて行く宝石を集めることにしました。
すべての宝石を粉にするフォスフォフィライト
出典:『宝石の国』コミックス11巻より
宝石たちを数名、月に連れていき
先生を裏切ったフォス達ですが、
先生は一向に祈ってはくれませんでした。
次のフォスの作戦は襲撃をかけて、先生と会って話すことでしたが、
地上に残った宝石たちが先生を守り、金剛先生に会うことも姿を見ることもできませんでした。
次なるフォスの作戦は武器を持たずにフォスが単独で地上に行き
宝石たちを説得して先生と話すことでしたが、
地上の宝石たちにバラバラにされて埋められてしまいました。
そのまま宝石たちがフォスの存在を忘れるまで220年かかり、
フォスは金剛の手によって組み立てられます。
またも金剛は、致命的な欠陥によって祈ることはできませんでした。
月からパパラチアが単独で地上に降り、自分を犠牲にしてフォスを助けます。
そうして月に帰ってきたフォスは
「すべての宝石を粉にする」と言いました。
右目は金剛が持っており、元のフォスフォフィライトの部分は胴体のみとなっています。
この状態のフォスは表情も分からなくなっていますが、
涙を流しているような描写があったり、ハズレアレキを見て呆れていたりと
表情豊かです。
シンシャの水銀を大量に浴びたフォスフォフィライト
アレキサンドライトやダイヤモンドを連れて月に行ったフォスは、
ジェードやシンシャと戦うことになります。
ジェードには「お前のことをわかってやれなくて すまない」と言われ
シンシャには「お前のおかげでみんなと仲良くできた 楽しかった ありがとう」
と言われ、シンシャとジェードを粉々にします。
シンシャが言いかけた「約束」という言葉がフォスにひっかかり
忘れてしまったシンシャとの約束を思い出そうとしていると
フォスの中からシンシャの水銀が溢れてきました。
水銀はフォスの頭を溶かし、見た目が金剛のようになります。
ここの水銀はフォスの涙だと思っています。
思わず溢れてしまったのだと。
1万年後のフォスフォフィライト
出典:『宝石の国』コミックス12巻より
金剛に壊れるように命令し、フォスは地上に1人残されてしまいます。
そのまま1万年が過ぎ、月に行った宝石たちは
月人になることができるようになっていました。
フォスは宝石の原型をなくし、
数々の物を取り込んで、人間をも超越した存在になりました。
まとめ
フォスフォフィライトの進化・変化の過程を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
最初のあどけない元気なフォスはどこに言ったのでしょうか・・・。
どこからどこまでが、フォスと言えるのでしょうか・・・。
このフォスの変化・進化の過程も、『宝石の国』のストーリーが思い・辛いと言われる理由の1つです。
また、フォスが補ったものは「仏教の七宝」と言われるものです。
玻璃:壊れやすいフォスフォフィライト自身
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88
瑠璃:ラピス・ラズリの頭部
金、銀:合金(金と白金)の両腕
硨磲、瑪瑙:アドミラビリス族の貝殻とアゲートの両脚
真珠:月で造られた合成真珠
玫瑰:シンシャから受けた大量の水銀
フォスが七宝を次々に取り込み、宝石から人間へと近づいていく様を表しているという説もありますね。
神様のようになったフォスは、これが最終形態なのか・・・。
フォスの意識は残っているのかもわからないところですが、
続きが楽しみ・・・なところです。
楽しみだけど、また苦しみを味わいたくない・・・でも楽しみっていう
複雑な心境で新刊を待っています
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